Article 自己免疫はヒトの自己抗原プロテイナーゼ 3に相補的なタンパク質cPR-3 (105-201)によって惹起される 2004年1月1日 Nature Medicine 10, 1 doi: 10.1038/nm968 自己免疫がどのように、そしてなぜ起こるかについてはいまだ不明である。本論文では、これまで認識されていない、自己免疫について一般的と考えられる機序を立証する。この新たな知見は、プロテイナーゼ-3(PR-3)に特異性を有する抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)によって引き起こされる炎症性血管疾患の患者から得た材料を用いることによって偶然に発見された。このような患者は自己抗原(PR-3)に対する抗体ばかりではなく、PR-3のアンチセンスDNA鎖から翻訳されたペプチド(相補的PR-3、cPR-3)もしくはこのペプチドの類似体に対する抗体ももっている。cPR-3の中央領域をマウスに免疫した結果、cPR-3に対する抗体ばかりでなく、免疫原のセンスペプチドに相当するPR-3に対する抗体の産生も起こった。ヒトおよびマウスのPR-3とcPR-3に対する抗体は両方とも、互に結合しあい、イディオタイプ関係にあることが示された。これらの結果は、自己抗原に対してアンチセンスもしくは相補的であるペプチドに対する免疫反応を介して自己免疫が開始され得ること、そしてその後自己抗原と交差反応する抗イディオタイプ抗体(自己抗体)を誘導することを示している。 Full text PDF 目次へ戻る