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Stat-3シグナル伝達による腫瘍細胞での自然および適応免疫の調節

Nature Medicine 10, 1 doi: 10.1038/nm976

腫瘍の進行過程には、炎症反応を活性化させ得る組織浸潤過程が含まれるが、免疫系は多くの場合癌の広まりを無視するかあるいは許容してしまう。癌の進行中に免疫応答の開始を阻止する機構については殆どわかっていない。本論文では、一般的な発癌シグナル伝達経路であるStat-3の構成性の活性化により、腫瘍での炎症誘発性メディエーターの発現が抑制されることを示す。腫瘍細胞でStat-3を阻害すると、自然免疫および樹状細胞を活性化する炎症誘発性サイトカインとケモカインの発現が増大し、腫瘍特異的T細胞応答を引き起こす。さらに、構成性のStat-3活性により、樹状細胞の機能的成熟を阻止する多面的作用を持つ因子類の生産が誘導される。腫瘍由来因子は、前駆細胞でのStat-3活性化を通して樹状細胞の成熟を阻害する。つまり、抗腫瘍免疫の阻害には腫瘍から樹状細胞へ広がるStat-3活性化のカスケードが関与している。腫瘍細胞のStat-3活性は、免疫系の複数成分による炎症性シグナルの発生および検出を阻害することによって、免疫回避を成立させていると考えられる。

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