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抗原85Aを発現する組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ株はヒトにおいてBCG抗原刺激および自然獲得抗結核菌免疫を高める

Nature Medicine 10, 11 doi: 10.1038/nm1128

結核菌Mycobacterium tuberculosisに対する防御免疫は、抗原特異的T細胞からのインターフェロンγ(IFN-γ)分泌を特徴とするTH1型細胞性免疫の惹起に依存している。ヒトにおいては、ワクチン接種による強力な細胞性免疫の誘導は困難であることが証明されている。動物実験では、組換えウイルスベクター、特にポックスウイルスやアデノウイルスは、多くの細胞内病原体に対して、あらかじめ抗原刺激されたCD4+およびCD8+T細胞の反応を高めるという点でとりわけ効果的である。結核に対するサブユニットワクチン候補の最初の第1相試験において、抗原85Aを発現する組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ株(MVA85A)は、単独で、Calmette-Guarin菌 (BCG)接種を受けていない健康な志願者に用いたときに、高いレベルの抗原特異的IFN-γ分泌T細胞を誘導することが見いだされた。0.5〜38年前にBCGでワクチン接種された志願者では、さらにずっと高いレベルの抗原特異的IFN-γ分泌T細胞が誘導され、またワクチン接種後24週の時点において、抗原特異的IFN-γ分泌T細胞のレベルは、BCGのワクチン接種を1回受けた者と比べて5〜30倍高かった。MVA85Aを用いた追加ワクチン接種は、結核の流行地域において、抗結核菌免疫を亢進および延長させるための実用的で効果的な方法となるであろう。

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