Article Calsarcin-1欠失マウスはカルシニューリンによるシグナル伝達に過敏となり、病的、生体力学的ストレスに対応した心筋症が加速される 2004年12月1日 Nature Medicine 10, 12 doi: 10.1038/nm1132 カルシウム依存性ホスファターゼであるカルシニューリンによるシグナル伝達は、心筋と骨格筋の成長と遺伝子発現に大きな影響を与える。カルシニューリンはcalsarcinと結合する。calsarcinは、サルコメアのZ盤に存在する筋特異的なタンパク質ファミリーであり、ヒト心筋症の病因の核心とされる。本論文では、calsarcin-1がカルシニューリンの機能を負に調節し、calsarcin-1を発現しないマウスの横紋筋でカルシニューリンのシグナル伝達の増強などを引き起こすことを明らかにする。Calsarcin-1のヌル突然変異マウスでは、カルシニューリンが不適切に活性化される結果、遅筋繊維が過剰に産生される。calsarcin-1が存在しない場合も、肥大は認められなくても肥大化への遺伝子プログラムが活性化されており、圧負荷に応じて心筋成長が促進される。これに対し、カテコールアミンによる慢性的刺激や運動のような,その他の肥大刺激に対する心臓の適応は影響を受けなかった。以上の知見は、calsarcinがカルシニューリンのシグナル伝達と、in vivoでの心臓リモデリングにつながる特定のストレスシグナル群の伝達の調節因子として重要な役割を持つことを明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る