Article ベルベリンはスタチン系薬剤とは異なる独自の作用機序をもつ新規コレステロール低下剤である 2004年12月1日 Nature Medicine 10, 12 doi: 10.1038/nm1135 漢方で使われる薬草から単離した化合物であるベルベリン(BBR)が新しいコレステロール低下剤であることがわかった。BBRを高コレステロール血症の患者32人に3か月間経口投与したところ、血清中のコレステロールが29%、中性脂肪が35%、LDL-コレステロールが25%まで低下した。また、高脂血症ハムスターにBBRを投与したところ、血清中コレステロールが40%、またLDL-コレステロールが42%減少し、肝臓のLDLRmRNAが3.5倍に、肝臓LDLRタンパク質は2.6倍にまで上昇した。ヒト肝癌細胞では、BBRによるLDLR発現の上方制御がみられ、これはステロール調節エレメント結合タンパク質には依存しないが、ERKの活性化に依存することがわかった。BBRは、転写後のmRNAを安定化させるという機構によりLDLRの発現を増大させる。さらに、ルシフェラーゼをレポーターとする異種発現系を用い、LDLRmRNAの3′非翻訳領域の5′側にあって、BBRの調節効果にかかわっている領域を同定した。今回得られた知見は、BBRがスタチン系薬剤とは異なる作用機序をもつ新規抗脂血性剤であることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る