Technical Report シグナル伝達経路を複合解析するためのタンパク質マイクロアレイ 2004年12月1日 Nature Medicine 10, 12 doi: 10.1038/nm1139 我々は、多数のシグナル伝達タンパク質の部位特異的リン酸化を同時にモニターするため、刺激を受けた生きている細胞に由来するナノグラム量の溶解物を使う複合型の逆相タンパク質(RPP)マイクロアレイ・プラットフォームを開発した。本論文ではまず、Jurkat株Tリンパ球におけるシグナル伝達動態と経路の研究にRPPマイクロアレイを使った結果を報告する。細胞膜にあるCD3受容体やCD28受容体を介して刺激を受けたJurkat株T細胞で、RPPマイクロアレイを使って62のシグナル伝達成分のリン酸化状態のプロファイルを作製したところ、CD3の架橋とRaf-1のSer259の脱リン酸化との間に従来知られていなかった関連性があることが突き止められた。さらに、インターロイキン2(IL-2)刺激型のCD4+CD25+調節性T細胞においてSTATタンパク質リン酸化の差異を調べる際に、数の非常に少ない重要な細胞集団の解析にこの技術が役立つ可能性が高いことを示す。RPPマイクロアレイは簡単な手順と標準的なマイクロアレイ装置を使って作製可能で、健康時と疾患時の両方でのシグナル伝達を調べる新しい有力な研究手法である。 Full text PDF 目次へ戻る