Research Highlights HIVの進化:CTL逃避変異と伝達後における復帰 2004年3月1日 Nature Medicine 10, 3 doi: 10.1038/nm992 患者体内でのHIVの進化は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)による認識からのウイルスの逃避を促進する強力な選択圧を反映している。この患者体内における逃避変異の蓄積が、結果として集団レベルでのHIVの進化につながるかどうかについては検討されていない。我々は、クレードB型およびC型の流行から抽出した300人を超える患者について、長期にわたるHIVの統御に関連し、それゆえこのウイルスに対して強力な選択圧を発揮すると思われるヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子HLA-B57およびHLA-B5801に焦点をあてて研究を行った。HLA-B57/5801陽性患者の急性感染において優位をしめるCTL反応は、逃避変異の正の選択を促進し、その変異はHLA-B57/5801陰性の患者に伝達された後、野生型に復帰した。同じエピトープにおけるもう1つ別の逃避変異は、これとは対照的に、伝達後も維持されていた。これらの結果は、HIVにおける逃避変異蓄積の過程が必ず起こるものではないことを示す。CTLによって媒介される正の選択圧やウイルス媒介性の浄化選択などの複雑なエピトープ特異的および残基特異的選択力が、集団レベルでのHIVの進化を方向づけるために協調的に作用している。 Full text PDF 目次へ戻る