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ヒトループスT細胞はCOX-2を上方制御することによって不活性化に抵抗しまた死から逃れる

Nature Medicine 10, 4 doi: 10.1038/nm1005

自己免疫性ヘルパーT細胞は、全身性エリテマトーデス(SLE)において病原性の自己抗体産生を促進するが、これらのT細胞を維持する機序は解明されていない。自己反応性T細胞は通常、機能的不活性化(アネルギー)および細胞死受容体(Fas)シグナル伝達を介した活性化誘導性細胞死(AICD)もしくはアポトーシスによって除去される。しかし、Fasおよびそのリガンド(FasL)をコードする遺伝子の変異は、古典的なSLEにおいては稀である。本論文では、機能的および生化学的研究によって実証された遺伝子マイクロアレイプロファイリングにおいて、ループス患者の活性化T細胞が、シクロオキシゲナーゼ2 (COX-2)発現を大幅に増大し、それを維持することによってアネルギーやアポトーシスに抵抗することを明らかにする。COX-2の阻害は、Fasシグナル伝達を増強させること、および生存分子c-FLIP (ウイルス性FLICE阻害タンパク質の細胞性相同体)を顕著に減少させることによって、アネルギー抵抗性ループスT細胞のアポトーシスを引き起こした。COX-2阻害剤およびCOX-2欠損マウスを用いた研究により、このCOX-2/FLIP抗アポトーシスプログラムがアネルギー抵抗性ループスT細胞によって選択的に使われており、癌細胞や他の自己免疫性T細胞によっては使われていないことが確認された。注目すべきことに、COX-2をコードする遺伝子は、1番染色体上のループス感受性領域に位置している。我々はまた、いくつかのCOX-2阻害剤のみが、自己免疫性T細胞のアポトーシスを引き起こすことにより、DNAに対する病原性自己抗体の産生を抑制することができることを見出した。この効果は、プロスタグランジンE 2 (PGE 2)非依存的である。これらの結果は、ループスの治療法を考案する際に有用であろう。

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