Research Highlights DNAシーケンサーを使って得た血清タンパク質糖鎖の総合情報から肝硬変を非侵襲的に診断 2004年4月1日 Nature Medicine 10, 4 doi: 10.1038/nm1006 本論文では、DNAシーケンサー/断片解析装置を基盤として我々が開発した「臨床糖鎖学」(clinical glycomics)技術を応用して、肝疾患患者の血清タンパク質N‐グリカンのプロファイルを作成した。この技術により、非硬変性の慢性肝疾患患者から代償性硬変を79%の感受性と86%の特異性(非代償性硬変は100%の感受性と特異性)で区別できるバイオマーカーが得られた。繊維化を示すFibrotestバイオマーカーを使う臨床化学的方法との併用により、代償性硬変は100%の特異性と75%の感受性で検出された。現行の肝硬変検出の標準的手法は肝生検だが、これは侵襲性で費用もかかり、痛みを伴う場合が多い。それゆえ、今回開発した高度に特異的なバイオマーカーセットによって多くの肝硬変患者で生検を回避できるだろう。このバイオマーカー併用法は、将来慢性肝疾患患者の追跡検査にも使える可能性があり、肝硬変の進展や、合併症(肝細胞癌など)のリスクの有意な増大の徴候をいち早くつかめると思われる。この臨床糖鎖学技術は、既存の分子診断施設で容易に実施可能である。 Full text PDF 目次へ戻る