Article CD95リガンドの中和は脊髄損傷後の再生と機能回復を促進する 2004年4月1日 Nature Medicine 10, 4 doi: 10.1038/nm1007 脊髄損傷(SCI)の臨床的転帰は、アポトーシスを原因とする二次的損傷の程度にも依存している。CD95や腫瘍壊死因子(TNF)リガンド/受容体系は、さまざまなアポトーシス機構で重要な役割を担っている。これらのリガンドがSCIによって誘導される損傷に関与しているかどうか調べるために、脊髄損傷マウスでCD95リガンド(CD95L)とTNFの活性を中和した。CD95Lの中和治療では、SCI後のアポトーシスによる細胞死は著しく減少したが、TNF中和ではそのようなことはなかった。CD95L特異抗体を投与したマウスでは、損傷後数週間で後肢の能動的な動きが開始され、運動能力の改善は筋繊維再生と成長関連タンパク質43(GAP-43)発現増大に反映されていた。したがって、CD95Lの中和は、脊髄損傷を起こした成体動物での軸索再生と機能改善を促したといえる。このような治療戦略は、将来、ヒトの脊髄損傷の有力な治療法となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る