Article 新しいヒトコロナウイルスの同定 2004年4月1日 Nature Medicine 10, 4 doi: 10.1038/nm1024 ヒトコロナウイルスには、ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)、HCoV-OC43および重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS‐CoV)の3種類が存在することが知られている。今回、新しいウイルス検出法により、第4番目のヒトコロナウイルス、HCoV-NL63を同定した。このウイルスは細気管支炎および結膜炎を罹患した7か月齢の小児から単離された。全ゲノム配列より、このウイルスは組換え体ではなく、新たなグループ1コロナウイルスであると考えられる。HCoV‐NL63は3代目のサル腎細胞およびサル腎LLC‐MK2細胞系列で複製しているので、in vitroでの宿主細胞域は注目に価する。ウイルスゲノムには、スパイクタンパク質内の独特なN末端断片をはじめ、特有の性質がみられる。呼吸器疾患患者の臨床検体のスクリーニングからさらに7名のHCoV‐NL63感染個体が同定されたので、このウイルスはヒト集団に広く蔓延していると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る