Research Highlights

アディポネクチンは脳で作用して体重を減少させる

Nature Medicine 10, 5 doi: 10.1038/nm1029

アディポネクチン(ADP)は、グルコースおよび脂質代謝に関与する脂肪細胞由来のホルモンである。ADPを静脈内(i.v.)注射すると脳脊髄液中のADPの上昇が観察され、脳への輸送が示された。ADPを脳室内(i.c.v.)投与すると、レプチンの場合とは異なり、エネルギー消費の促進による体重減少が起こった。完全長ADP、Cys39がセリンで置換されたADP変異体、およびADP球状ドメインではこの効果がみられたが、ADPのコラーゲン様末端フラグメントではみられなかった。Lepob/obマウスは、特にADPのi.c.v.投与または全身投与に対する感受性が高く、熱発生の増大、体重減少、血清中のグルコースおよび脂質濃度の低下が起こった。ADPはまた、熱発生と脂質濃度に対するレプチンの作用を増強した。これらのホルモンはともに視床下部で産生されるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)の発現を増大させたが、レプチンの他の神経ペプチド標的に対してはADPの実質的な影響はみられなかった。また、ADPは明瞭なFos免疫活性を誘導した。アグーチ(Ay/a)マウスはADPやレプチンに反応を示さなかったが、このことはメラノコルチン経路がこれらの共通の標的であることを示している。今回の結果は、ADPがエネルギー恒常性に対して独自の重要な影響をもつことを明らかにするものである。

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