Article 脂肪組織を標的として消失させることによる肥満の解消 2004年6月1日 Nature Medicine 10, 6 doi: 10.1038/nm1048 肥満は先進国においてますます増加しつつある。肥満に至る分子機構の解明は大きく進んだにも関わらず、安全で効果的な治療法はいまだ見いだされていない。本論文では、脂肪細胞の脈管構造を標的としてアポトーシスを誘発させる抗肥満療法について報告する。我々はin vivoでファージ・ディスプレイ法を用い、白色脂肪の脈管構造に入り込むペプチドモチーフ(CKGGRAKDC)を単離した。本論文では、CKGGRAKDCペプチドが複数機能をもつ膜タンパク質であるプロヒビチンと結合し、脂肪細胞の血管マーカーとなることを示す。脂肪の脈管構造中に存在するプロヒビチンを標的としてアポトーシス誘導性ペプチドを結合させると、白色脂肪が消失した。既存の脂肪組織の再吸収と代謝の正常化により、肥満は速やかに解消し副作用は認められなかった。プロヒビチンはヒト白色脂肪の血管でも発現しているため、今回の結果は、肥満患者の治療に用いる分子標的薬剤の開発につながる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る