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脊髄損傷後の軸索の成長と機能回復のcAMPとシュワン細胞による促進

Nature Medicine 10, 6 doi: 10.1038/nm1056

中枢神経ニューロンは、許容的な環境下では軸索を再生する。しかし、脊髄損傷後には阻害的に働く分子が存在して、拒否的環境が形成される。ニューロンを阻害的なシグナルにうち勝たせるのに有効と思われる新戦略は、cAMPシグナル伝達の活性化である。今回我々は、脊髄挫傷を起こすと脊髄吻側、大脳皮質感覚運動野、脳幹でcAMP濃度が低下することを明らかにする。ホスホジエステラーゼIV阻害剤であるロリプラムを用いてcAMPの加水分解を阻害すると、cAMP濃度低下は妨げられ、シュワン細胞の移植を併用した場合には、上脊髄性および固有受容性軸索の保持とミエリン形成が大幅に促進される。さらに、ロリプラムと移植部位付近へのdb-cAMP注入とを併用すれば、cAMP濃度の低下を防止するだけでなく、非損傷対照群よりもcAMP濃度の上昇がみられた。これは軸索の保持とミエリン形成をさらに促進し、移植片内外へのセロトニン作動性繊維の成長を促進して運動機能を大幅に改善させる。今回の結果は、損傷した中枢神経系軸索のin vivoでの保護、成長、ミエリン形成、および機能回復にcAMP濃度が重要であることを示している。

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