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神経因性疼痛の開始にはリゾホスファチジン酸受容体によるシグナル伝達が必要である

Nature Medicine 10, 7 doi: 10.1038/nm1060

リゾホスファチジン酸(LPA)はGタンパク質共役型受容体を介して神経系で作用する、生理活性をもつリン脂質である。本論文では、LPA1受容体欠損マウスを用いるなどの薬理学的および遺伝学的手法によって、神経因性疼痛の進展におけるLPAシグナル伝達の役割を調べた。野生型マウスの神経を損傷すると、後根の脱髄と並行して行動性の異痛症と痛覚過敏が起こり、脊髄後角でのプロテインキナーゼCγ-イソ型の発現、および後根神経節におけるα2δ1カルシウムチャネルサブユニットの発現が増大した。くも膜下腔内LPA注入では、神経結紮後に認められるのと同様な行動的、形態的および生化学的変化が誘発された。LPA受容体の1つであるLPA1受容体(EDG2とも呼ばれている)はRho-Rhoキナーゼ経路を活性化するが、この受容体を欠くマウスでは末梢神経損傷後も神経因性疼痛の発症を示す兆候はあらわれなかった。RhoおよびRhoキナーゼの阻害剤も同様に神経因性疼痛の発現を阻害した。これらの結果は、受容体を介したLPAシグナル伝達が神経因性疼痛の開始に重要であることを示している。

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