Article

視床下部のAMP活性化プロテインキナーゼ抑制を介して起こるαリポ酸の抗肥満作用

Nature Medicine 10, 7 doi: 10.1038/nm1061

AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)は細胞内の燃料センサーとして働いており、細胞のエネルギーが枯渇すると活性化される。今回、ミトコンドリア酵素の補因子であるαリポ酸(α-LA)は、げっ歯類で視床下部AMPK活性を低下させ、摂食量低下とエネルギー消費の増大による大幅な体重減少を引き起こすことを報告する。視床下部AMPKの活性化は、摂食およびエネルギー消費に対するα-LAの作用を逆転させる。グルコースの脳室内投与(i.c.v.)により視床下部AMPK活性は低下するが、2-デオキシグルコース投与により細胞内のグルコース利用を阻害すると、視床下部AMPK活性および摂食量は増加する。2-デオキシグルコースによって引き起こされた過食は、視床下部AMPKの抑制により回復する。今回の結果は、視床下部AMPKは摂食やエネルギー消費の中枢性調節に重要であり、α-LAは視床下部AMPKを抑制することにより抗肥満作用を発揮することを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度