Letter

ドナーAPCは最も重症なGVHDに必要であるがGVLには必要ではない

Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1089

移植片対宿主病(GVHD)は、同種幹細胞移植における疾病の主要原因である。我々は以前にレシピエントの抗原提示細胞(APC)が、副組織適合抗原(マイナーH抗原)のみが異なるマウスモデルにおいて、CD8依存性のGVHDに必要であることを示した。しかしこの研究では、GVHDが起こった後におけるドナー由来APCの機能については調べなかった。本論文では、主要組織適合遺伝子複合体クラスI欠損(MHC I-)ドナー骨髄のレシピエントにおいて、GVHDが発症することを明らかにする。このように、初回刺激後、CD8細胞は造血系APCをさらに必要とすることなくGVHDを引き起こした。このことは、レシピエントAPCがGVHDに必要十分であることを示している。それにもかかわらず、MHC I-骨髄のレシピエントにおいては、GVHDの症状の程度は軽かった。したがって、いったん発症すると、GVHDはドナー由来の細胞、最も可能性が高いのは同種反応性CD8細胞を交差刺激するドナーAPC、により増強される。しかしながら、慢性骨髄性白血病の慢性期マウスモデルに対するCD8媒介性移植片対白血病(GVL)反応にはドナーAPCは必要ではなかった。これらの研究は、おそらくGVL反応を維持した状態で、GVHDを治療するための新たな標的としてのドナーAPCを明らかにするものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度