Article 呼吸器免疫における誘導性気管支関連リンパ組織(iBALT)の役割 2004年9月1日 Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1091 気管支関連リンパ組織(BALT)は、ヒトおよびマウスの肺で時折みられることがあるが、呼吸器免疫におけるその役割はわかっていない。本論文では、脾臓、リンパ節およびパイエル板を欠損するマウスで、予想に反してインフルエンザに対する強いB細胞およびT細胞一次応答が生じることを示す。この応答は誘導性BALT (iBALT)部位で開始されるらしい。iBALT領域には、はっきりと区別できるB細胞瀘胞とT細胞領域があり、TおよびB細胞の増殖が起こる。恒常性ケモカインであるCXCL13とCCL21は、iBALT形成部位においてTNFαおよびリンホトキシン非依存的に発現される。さらに、iBALTを有するが末梢リンパ器官が欠損したマウスでは、インフルエンザ感染の治癒がみられ、また正常マウスよりも高いウイルス投与量でも生存できた。これは、iBALTで生じる免疫反応は防御的であるばかりでなく、おそらく全身性免疫反応よりも病的状態を起こしにくいことを示している。したがって、iBALTは呼吸器免疫反応のための誘導性二次リンパ組織として機能しているといえる。 Full text PDF 目次へ戻る