Article 変性自己反応性ヒトT細胞受容体はマウスで自発性自己免疫疾患を引き起こす 2004年9月1日 Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1092 甲状腺における自己免疫疾患は、臓器特異的自己免疫疾患のうち30%以上を占め、自己抗体とT細胞の浸潤が特徴である。浸潤したT細胞の病理的役割はよくわかっていない。この問題に取り組むため、我々は甲状腺炎患者の甲状腺に浸潤しているT細胞由来で、甲状腺ペルオキシダーゼのクリプティックエピトープに特異的なヒトT細胞受容体を発現するトランスジェニックマウスを作出した。本論文では、マウスの主要組織適合抗原複合体分子がトランスジェニックT細胞の選択能と活性化能を維持し、組織適合性白血球抗原分子の共発現を必要としないことを示す。また、トランスジェニックT細胞はin vivoでは活性化された表現型を有し、マウスは組織学的、臨床的、およびホルモン的徴候が、ヒトの自己免疫性甲状腺機能低下症と似た重症の甲状腺炎を自発的に発症する。これらの結果は、自己クリプティックエピトープに特異的なヒトT細胞の病原的役割を明らかにするものである。この新しい「よりヒトに近づいた」モデルは、病原性をもつヒト自己反応性T細胞が自己免疫疾患を引き起こす仕組みを調べたり、自己免疫をin vivoで制御する仕組みを決定するためのユニークな解析手段となると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る