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卵巣癌における調節性T細胞の特異的動員は免疫特権を助長し生存短縮を予見する

Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1093

調節性T (Treg)細胞は、自己反応性T細胞を抑制することによって、恒常性を維持する末梢性寛容を媒介する。宿主の抗腫瘍免疫の障害は、Treg細胞により媒介される腫瘍関連抗原反応性リンパ球の過度の抑制によって引き起こされているかもしれない。しかし、Treg細胞がヒトの癌において免疫病理学的な役割をもつという決定的な証拠は欠如している。本論文では、卵巣癌に冒されている104人のCD4+CD25+FOXP3+Treg細胞の詳細な研究において、ヒトの腫瘍Treg細胞が腫瘍特異的T細胞免疫を抑制し、in vivoにおけるヒトの腫瘍増殖に寄与していることを示す。我々はまた、腫瘍Treg細胞が、死を引き起こす危険性が高いことおよび生存短縮と関連していることも示す。ヒトTreg細胞は、癌の病期の後期において、腫瘍および腹水中に優先的に移動し蓄積するが、所属リンパ節にはほとんど入らない。腫瘍細胞および微小環境のマクロファージはケモカインCCL22を産生し、このケモカインは腫瘍へのTreg細胞の移動を媒介する。腫瘍が免疫特権を助長しているかもしれないが、その機序は、このTreg細胞の特異的動員によって説明される。したがって、Treg細胞の遊走や機能を阻害することは、ヒトの癌を克服するのに役立つかもしれない。

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