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5-リポキシゲナーゼ経路は高脂質血症依存性の大動脈瘤の発症を促す

Nature Medicine 10, 9 doi: 10.1038/nm1099

5-リポキシゲナーゼ(5-LO)経路の活性化は、炎症誘導性ロイコトリエンの脂質メディエーターの生合成を招く。遺伝学研究から、5-LOおよびその補助タンパク質5-LO活性化タンパク質は、心血管疾患、心筋梗塞、脳卒中に関連があることがわかっている。本論文では、5-LO陽性マクロファージが、マウスおよびヒトの病的な動脈の外膜で新血管新生領域に局在すること、またこのマクロファージが、アポリポタンパク質E欠損マウスの、コール酸を含む動脈硬化惹起性の食餌に起因する大動脈瘤の主成分であることを報告する。5-LOの欠損は、このような動脈瘤の形成を著しく抑え、またマトリックスメタロプロテイナーゼ2活性の低下、および血漿中のマクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1α、CCL3とも呼ばれる)の減少と関連しているが、脂質に富む病変の形成にはほとんど影響しない。ロイコトリエンLTD4は、マクロファージにおけるMIP-1αの発現、また内皮細胞におけるMIP-2(CXCL2とも呼ばれる)の発現を強く促進する。以上の結果から5-LO経路が、動脈壁の高脂質血症依存性の炎症、またケモカインが仲介する経路を介すると考えられる大動脈瘤の発症と関連することがわかる。

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