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遺伝子治療:腫瘍を標的とした治療用ウイルスベクターを、抗原特異的なT細胞をヒッチハイクすることにより全身投与する
Nature Medicine 11, 10 doi: 10.1038/nm1297
抗原特異的なT細胞は自由に循環し、抗原の発現部位に特異的に集まる。全身投与されたウイルスベクターの残存率やターゲッティング効率を上げるため、我々は、レトロウイルスの粒子が非特異的に、あたかも「ヒッチハイク」するかのようにT細胞の表面に接着するという観察結果を用いた。抗原特異的なT細胞の養子移入を、インターロイキン(IL)-12あるいは単純ヘルペスウィルス由来のチミジンキナーゼ(HSVtk)をコードするウイルスを細胞に結合した状態で行うことにより、T細胞の養子移入だけでは効果が認められない、確立した転移性がんが治癒した。ウイルスの移行と増殖は、悪性腫瘍細胞でのヘパラナーゼの発現、あるいは抗原によるT細胞の活性化の結果として起こる局所的なヘパラナーゼの発現、またはこの両方と相関しており、この発現がin vivoでの転移性腫瘍へのウイルスの移行に高い選択性を与えている。細胞という運搬体に吸着させることでウイルスを保護、濃縮およびターゲッティングする方法は、十分な免疫能のある宿主の場合、遺伝子送達が治療として有益と思えるさまざまな疾患に対してベクターの全身投与を行うための新しい手法となる。