Article 創傷治癒:β3インテグリン欠失マウスにおける再上皮化の促進はTGF-β1シグナル伝達の増大と関連している 2005年2月1日 Nature Medicine 11, 2 doi: 10.1038/nm1165 TGF-β1とインテグリンは創傷治癒期間中に発現が増大するため、こうした治癒過程に関与すると考えられているが、これらの調節機序や役割はよくわかっていない。本論文では、β3インテグリン群を欠くマウスでは、注目すべきことに創傷治癒が促進され、再上皮化が野生型マウスよりも数日早く完了することを報告する。この現象は、β3ヌルマウスではTGF-β1が増加し、創傷部位への皮膚繊維芽細胞の浸潤が促進された結果である。特に、β3インテグリンの欠失は、TGF-β受容体Iおよび受容体IIの発現増大、Smad3濃度の低下、Smad2およびSmad4の核局在化の持続、TGF-β1が介在する皮膚繊維芽細胞の移動増加と関連している。これらの結果は、αυβ3インテグリンがTGF-β1が仲介するシグナル伝達を抑制し、それによって創傷治癒速度を調節する可能性を示しており、また、β3インテグリンによるTGF-β1の調節という新しい機構を明らかにするものである。 Full text PDF 目次へ戻る