Article 心疾患:サイクリックGMP ホスホジエステラーゼ5Aの長期にわたる阻害は心肥大を防止・回復させる 2005年2月1日 Nature Medicine 11, 2 doi: 10.1038/nm1175 心臓に継続的にかかる圧力過負荷は肥大や病的なリモデリングを誘発し、これはしばしば心不全に至る。グアノシン3',5'-サイクリック一リン酸(cGMP)合成の遺伝子工学的手法による過剰刺激はこうした応答を阻止する。本論文では、ホスホジエステラーゼ5A(PDE5A)阻害剤である経口薬シルデナフィルでcGMPの内因的な異化作用を阻害すると、心室および心筋細胞の肥大が抑制され、横行大動脈収縮によって長期的な圧力過負荷を与えたマウスのin vivoでの心機能が回復することを報告する。シルデナフィルは、心室機能を正常に回復すると同時に、圧力負荷によってすでに発症している肥大も回復する。PDE5AによるcGMPの異化は圧力負荷のかかっている心臓では増大しており、PDE5Aを阻害するとcGMP依存性プロテインキナーゼが活性化される。PDE5Aの阻害は、圧力負荷によって引き起こされる複数の心肥大シグナル伝達経路(カルシニューリン/NFAT、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)/Akt、およびERK1/2シグナル伝達経路)を不活性化する。しかし、in vitro でのカルシニューリン、あるいはin vivoでのAktの過剰発現によって誘発される肥大は抑制されないので、標的はこのようなシグナル伝達経路の上流にあると考えられる。PDE5Aの阻害は、心肥大やリモデリングのための新しい治療戦略となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る