Article 免疫:ミクログリアの麻痺によって抑制される実験的自己免疫性脳脊髄炎 2005年2月1日 Nature Medicine 11, 2 doi: 10.1038/nm1177 ミクログリアは、炎症性、変性性および腫瘍性の中枢神経系(CNS)疾患において活性化されているが、病因におけるミクログリアの役割は不明である。我々はこの問題を、マクロファージおよびミクログリアにおいて単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼを発現するCD11b-HSVTKトランスジェニックマウスを作出することにより検討した。CD11b-HSVTKマウスの脳スライス器官培養をガンシクロビル処理したところ、ミクログリアからの亜硝酸塩、炎症性サイトカインおよびケモカインの放出がみられなくなった。CD11b-HSVTKマウスにガンシクロビルを全身性に投与したところ造血毒性が認められたが、これは野生型骨髄の移入により防止された。骨髄キメラマウスにガンシクロビルを投与したところ、軸索切断後の顔面神経核におけるミクログリアの活性化が阻害され、また実験的自己免疫性脳脊髄炎の発症が抑えられた。我々は、ミクログリアの麻痺が炎症性CNS病変の発生および維持を抑制するものと考える。したがってミクログリアは、炎症性CNS疾患における治療標的となる可能性がある。またこれらの結果は、CD11b-HSVTKマウスが、in vivoにおけるミクログリアの活性化がCNSの疾患に及ぼす影響を調べるために有用であることを実証している。 Full text PDF 目次へ戻る