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血管新生:カテプシンLは血管内皮前駆細胞が誘導する血管新生に必要である

Nature Medicine 11, 2 doi: 10.1038/nm1182

血管内皮前駆細胞(EPC)の注入では、虚血後の血管新生が促進されるが、成熟血管内皮細胞ではこうした促進は起こらない。今回、EPCの血管新生能に重要な役割を果たす可能性のある遺伝子群を同定するために、EPCおよび血管内皮細胞の遺伝子発現プロファイリングを行った。プロテアーゼであるカテプシンL(CathL)は血管内皮細胞に対比してEPCで高度に発現されており、in vitroでのマトリックスの分解およびEPCの浸潤に不可欠であることがわかった。CathL欠損マウスでは後肢虚血後の機能回復が認められず、これは出生後の血管新生にCathLが重要な役割を果たすという考えを裏づける。またCathL欠損前駆細胞では、注入後に虚血部位への移動も血管新生の増加も認められなかった。CathLを成熟血管内皮細胞で強制発現させると、in vivoでの浸潤活性がかなり促進され、血管新生を十分起こすことができた。CathLは、循環血中のEPCの虚血組織への取り込みに重要な役割を果たし、EPCが関与する血管新生に必要であると考えられる。

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