Article 有毛細胞の再生:難聴哺乳動物へのAtoh1遺伝子導入による聴覚有毛細胞の再生と聴覚の改善 2005年3月1日 Nature Medicine 11, 3 doi: 10.1038/nm1193 哺乳類の聴覚系において加齢、耳毒性薬物、感染、過大音響刺激や他の原因による感覚細胞の消失は不可逆的であり、その結果永続的な感音難聴を引き起こす。聴覚を回復させるためには機能する有毛細胞を新しく作ることが必要である。有毛細胞を再生する可能性のある方法の1つは、難聴の蝸牛に残存している非感覚細胞の表現型の分化転換を誘導することである。本論文では塩基性ヘリックス・ループ・へリックス転写因子で、有毛細胞の発生の重要な調節因子であるAtoh1遺伝子(Math1として知られる)をアデノウイルスベクターによって非感覚細胞に導入した。その結果、難聴の成熟内耳において有毛細胞の再生が誘導され、聴覚閾値が改善した。これは難聴成体哺乳動物のコルティ器の細胞および機能が修復された初めての報告である。以上のデータは、損傷を受けた聴覚上皮や他の感覚器の細胞および機能を回復するための、発生にかかわる重要な遺伝子を発現させることにもとづく新しい治療方法を示すものである。 Full text PDF 目次へ戻る