Article 神経変性疾患:脳白質喪失症ではEIF2B5の突然変異がGFAP+アストログリアの生成を阻害している 2005年3月1日 Nature Medicine 11, 3 doi: 10.1038/nm1195 脳白質喪失症(VWM)は遺伝性の白質萎縮症で翻訳開始因子2B(eIF2B)の突然変異と関連している。この疾患の臨床経過は比較的よく観察されているが、神経細胞におけるEIF2B変異の細胞レベルでの影響は明らかではない。我々は、eIF2B(EIF2B5遺伝子にコードされる)のサブユニット5に変異をもつVWM患者由来脳細胞の培養系を確立した。この患者では広範囲に明瞭な脱髄が見られるにもかかわらず、in vitroでは形態的に一見正常なオリゴデンドログリアが容易に形成される。これに対して、GFAPを発現している(GFAP+)アストログリアは初代培養にはほとんど含まれておらず、アストログリアの誘導は強く妨げられていた。生じたごく少数のアストログリアの形態および抗原表現型は異常だった。in vivoの病変部も、GFAP+アストログリアを欠いていた。EIF2B5を標的とするRNAi実験では、ヒトの正常なグリア前駆細胞からのGFAP+細胞の誘導は強く阻害された。これらの結果は、VWM大脳白質萎縮症ではアストログリアの機能欠損が大脳白質の欠損に関与している可能性を示している。 Full text PDF 目次へ戻る