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癌と免疫:癌抑制遺伝子Bin1による免疫調節の標的であるインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼの阻害は癌化学療法を増強させる

Nature Medicine 11, 3 doi: 10.1038/nm1196

免疫回避は癌の進行に関するきわめて重要な特性であるが、これについてはほとんど解明されていない。腫瘍細胞では、免疫調節酵素であるインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)が増加すると免疫回避が促進されることがある。どのようにIDOが増加するのか、あるいはIDO阻害剤が癌治療に有用であるかどうかについてはわかっていない。本論文では、IDOがBin1の遺伝的制御下にあり、そして多くのヒト悪性腫瘍においてBin1が減弱していることを示す。マウスノックアウト実験から、Bin1の欠損がSTAT1およびNF-κB依存性のIDOの発現を増加させ、腫瘍形成性形質転換細胞のT細胞依存性の抗腫瘍免疫からの回避を促進することが示唆されている。我々は、定着性乳癌のモデルであるMMTV-Neuマウスで、IDOの低分子阻害剤が細胞毒性薬剤と協同して、単一薬剤治療に抵抗性の定着腫瘍の退縮を引き起こすことを示す。我々の知見は、Bin1の欠損がIDOの調節解除によって癌における免疫回避を促進させること、およびIDO阻害剤が癌化学療法に対する反応を改善する可能性を示唆している。

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