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脂質と糖代謝:グルコース恒常性には視床下部における血中脂肪酸の感知が必要である

Nature Medicine 11, 3 doi: 10.1038/nm1201

グルコース産生の増加は2型糖尿病の特徴であり、脂質代謝の変化がその病態生理の一因となっている。我々は、血漿中の脂肪酸の生理的な増加が視床下部内で感知されうること、またこの感知は肝糖新生への脂肪酸の直接的刺激作用を相殺するのに必要であると考えた。生理的過程に関連して血漿中の脂肪酸レベルが増加している状態で、(i)視床下部での脂肪酸のエステル化の阻害、(ii)視床下部KATPチャネル遺伝子の除去(Sur1-欠損マウス)あるいは脂肪酸によるKATPチャネル活性化の薬理的阻害(KATP阻害薬)、(iii)迷走神経肝枝の外科的切除により、肝のグルコース流出に対する脂肪酸の中枢性作用を打ち消すと、肝のグルコース産生量は著しく増加する。これらの知見は、血中脂質の生理的な上昇が視床下部内で感知され、視床下部における脂質感知に欠陥が生じるとグルコース恒常性が崩壊することを示している。

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