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早老症:早期老化症状を示すハッチンソン・ギルフォード早老症候群における細胞表現型の回復

Nature Medicine 11, 4 doi: 10.1038/nm1204

ハッチンソン・ギルフォード早老症候群(HGPS)は小児期に発病する早老症であり、哺乳類の細胞核を構築する主要な要素の1つであるラミンA(LMNAにコードされる)に起こった偶発性点突然変異が原因である。HGPSで見られる突然変異は、LMNAのmRNA前駆体上に潜在しているスプライス部位を活性化するので、短縮型のラミンAタンパク質が合成され、それにともなって野生型ラミンAが減少する。HGPS患者の繊維芽細胞では、核膜構造に著しい形態異常が認められる。本論文では、HGPS個体由来の細胞における疾患表現型が可逆的であることを示す。野生型ラミンAタンパク質を導入しても細胞の病的徴候は回復しない。活性化した潜在スプライス部位を標的とする修飾オリゴヌクレオチドを用いて異常なスプライシングが起こらないように訂正してやると、変異型LMNAのmRNAおよびラミンAタンパク質は効率よく減少する。スプライシングの訂正により、HGPSの繊維芽細胞の核は正常な形態を呈すようになり、核の配置の異常やラミナ関連タンパク質の細胞内濃度が回復し、ヘテロクロマチン特異的なヒストン修飾の欠陥は修正されて、制御が異常になっていた複数の遺伝子が再び適正に発現するようになる。今回の結果は、HGPS個体における早老症表現型の修正の原理を検証・確立したものといえる。

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