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アルツハイマー病:ソマトスタチンは脳内アミロイドβペプチドAβ42をタンパク質分解の調節を介して制御する

Nature Medicine 11, 4 doi: 10.1038/nm1206

脳内におけるソマトスタチンの発現は、類人猿やヒトなどのさまざまな哺乳類で加齢にともない低下する。神経ペプチドであるソマトスタチンの顕著な減少は、アルツハイマー病の病理学的な特徴でもある。本論文ではin vitroおよびin vivoの実験から、ソマトスタチンはネプリライシンが触媒するタンパク質分解の調節を介して、アルツハイマー病の主要な病因分子であるアミロイドβペプチド(Aβ)の代謝を脳内で制御することを報告する。多様なエフェクター候補のなかで、ソマトスタチンだけが大脳皮質由来培養ニューロンでネプリライシン活性を高めた。ソマトスタチン遺伝子の欠損は、海馬におけるネプリライシンの活性および局在を変化させ、疎水性の42量体型のAβであるAβ42の量を、家族性アルツハイマー病の原因となるプレセニリン遺伝子の突然変異の場合と同様に高めた。以上の結果は、加齢にともなって起こるソマトスタチン発現の低下がAβ蓄積の引き金となって、遅発性の弧発性アルツハイマー病に至る可能性があることを示しており、またソマトスタチンの受容体が、アルツハイマー病の予防および治療のための薬理学的標的候補となりうることを示唆している。

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