Article 心筋梗塞:カルモジュリンキナーゼIIの阻害は構造的な心疾患を防止する 2005年4月1日 Nature Medicine 11, 4 doi: 10.1038/nm1215 βアドレナリン受容体(βAR)への刺激は細胞質ゾル中のCa2+を増加させ、生理的な心収縮増大を起こすが、一方、βARの過剰な活性化は、心筋梗塞患者で心筋肥大、拡張、機能不全などの不都合な心臓リモデリングの原因となる。Ca2+カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)は最近、βARが開始するシグナル伝達カスケードの下流で働くことが突き止められた。このカスケードは、病的な心筋リモデリングおよび心臓の興奮収縮連関に関与する重要なタンパク質の制御に関連している。我々は、心臓のCaMKII阻害のマウスモデルを遺伝学的に作出し、βARシグナル伝達におけるCaMKIIの役割をin vivoで調べた。本論文では、CaMKIIの阻害がβARへの過剰な刺激および心筋梗塞から生じる適応性のないリモデリングを大きく妨げ、興奮収縮連関でベースラインを維持するようなバランスのとれた変化や、βARの刺激による心機能の生理的向上を誘導したことを示す。今回の知見は、CaMKIIが臨床上重要な心疾患表現型の決定因子であることを明らかにするものであり、βARシグナル伝達に関連する不都合な心筋リモデリングを標的とする際に、CaMKIIの阻害がきわめて選択性の高い治療法となる可能性を示している。 Full text PDF 目次へ戻る