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腎疾患:BMPシグナル伝達の新規エンハンサーKielin/chordin様タンパク質は腎繊維症を軽減する

Nature Medicine 11, 4 doi: 10.1038/nm1217

骨誘導因子(BMP)は胚発生や分化、疾患に大きな影響を与える。BMPシグナル伝達はchordinなどのシステインリッチドメインタンパク質によって抑制されるが、これはこのようなタンパク質がBMP受容体にリガンドが近づけないようにするからである。本論文では、18個のシステインリッチドメインをもつ新規タンパク質KCPについて報告する。KCPはchordinと異なり、パラクリン的に働いてBMPシグナル伝達を促進する。KCPがBMP7に結合するとBMP7とI型受容体の結合が促進されるので、Smad1に依存した転写とリン酸化されたSmad1(P-Smad1)濃度が上昇する。in vivoでは、Kcp -/-マウスは生存可能で生殖力もある。BMPは腎疾患にきわめて重要な役割を担うことから、2種類の腎損傷モデルでKcp-/-マウスの表現型を調べた。Kcp-/-マウスではP-Smad1濃度の低下が見られ、腎間質性繊維症の発症や尿細管の損傷が起こりやすくなり、回復後には相当数の病痕が認められた。これらの結果は、KCPが腎繊維症による病変を軽減するために重要な役割を担っていることを示している。

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