Letter 肝臓のGab1の除去は耐糖能の増強と肝臓 のインスリン作用改善につながる 2005年5月1日 Nature Medicine 11, 5 doi: 10.1038/nm1227 インスリン受容体基質1(IRS-1)とIRS-2は、インスリ ン受容体が発するシグナルを変換し増幅することが 知られている。本論文では、Grb2-associated binder 1(Gab1)は、IRSタンパク質と構造的に似 ているにもかかわらず、肝臓におけるインスリン作 用を負に調節していることを示す。肝臓特異的に Gab1をノックアウトしたマウス(LGKO)は、肝臓 におけるインスリン感受性が増強しており、血糖が 低く耐糖能が増大した。LGKOの肝臓では、IRS-1 お よびIRS-2のチロシンリン酸化レベルが基礎値・イン スリン刺激後とも上昇しており、これにはAkt/PKB 活性の増強が伴っていた。逆に、インスリンによる Erk活性化はLGKOの肝臓では抑制されており、IRS-1 のSer612のリン酸化に障害をきたしていた。したが って、Gab1はErk経路の促進を介して、IRSとAktタ ンパクの間を流れるインスリンからのシグナルを減 弱させており、これは肝臓でインスリンシグナルの 強度を制御するための新しいバランス機構にあたる。 Full text PDF 目次へ戻る