Technical Report 損傷脊髄中の軸索の変性や再生のin vivo での画像化 2005年5月1日 Nature Medicine 11, 5 doi: 10.1038/nm1229 中枢神経系の軸索は離断に対する反応が乏しく、そ のせいもあって脊髄損傷の予後は悪い。今回我々は 遺伝子操作マウス生体を使い、脊髄損傷後の数日に わたって、脊髄中の蛍光標識した個々の軸索をモニ ターした。軸索は、外傷を受けてから30分以内に損 傷箇所から数百マイクロメートルにわたる範囲で立 ち枯れ状態になることがわかった。この急性の軸索 変性は、仕組みの点では連結の断たれた遠位軸索で もっと遅れて起こるワーラー変性に類似しているが、 急性変性は近位軸索終末と遠位軸索終末に等しく作 用する。さらにin vivoでの画像化から、多数の軸索 が損傷後6〜24時間以内に再生しようとすることも わかった。この成長反応は、しっかり起こってはい るものの、どうやら軸索が適切な進路を見つけられ ないために失敗に終わるらしい。これらの結果から 考えると、軸索損傷の微速度撮影画像は、脊髄損傷 の病因を見極めたり再生亢進療法を評価したりする ための強力な解析ツールとなってくれそうだ。 Full text PDF 目次へ戻る