Letter アミロイドβタンパク質を標的とする免 疫療法はin vivoでシナプス可塑性を損な うAβオリゴマーを中和する 2005年5月1日 Nature Medicine 11, 5 doi: 10.1038/nm1234 アルツハイマー病に対する実験的修飾療法の中で臨 床的に最も進んだものの1つが、アミロイドβタンパ ク質(Aβ)に対する免疫化であるが、この方法が認 知障害を防ぐかどうかは不明である。我々はAβに対 する抗体が、シナプス毒性をもつと考えられるAβ可 溶性分子種を脳内で直接中和することにより有益な 作用をおよぼすと考えた。自然分泌されたヒトAβを ラットの脳室内に注入したところ、海馬で起こり学 習および記憶と相関する長期増強現象(LTP)がin vivoで阻害されたが、Aβに続いて抗Aβモノクロー ナル抗体を注入するとLTPの阻害は完全に妨げられ た。Aβをサイズにより分画した実験から、Aβオリ ゴマーはLTPの阻害に関与するが、単量体またはア ミロイド原繊維は関与しないこと、また抗Aβ抗体は このような阻害も妨げることがわかった。Aβに対す る能動免疫は効果が弱く、この効果は抗Aβオリゴマ ー抗体のレベルと正の相関関係を示した。外因性お よび内因性の抗体が、シナプス可塑性を損なう可溶 性Aβオリゴマーをin vivoで迅速に中和できること は、このような抗体を用いる治療法が初期のアルツ ハイマー病にみられる認知障害を回復させる可能性 を示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る