Article インテグリンαvβ3はヒトサイトメガロ ウイルスに対する補助受容体である 2005年5月1日 Nature Medicine 11, 5 doi: 10.1038/nm1236 ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は広く生息し ている日和見病原体で、新生児では先天性欠損症を 引き起こし、免疫不全個体では重篤な疾患の原因と なる。HCMVは感染の宿主域が広いことから、複数 の受容体を用いているものと考えられる。我々は最 近、上皮増殖因子受容体(EGFR)がHCMVに対する受 容体として働くことを明らかにした。本論文では、 HCMVがインテグリンαvβ3も補助受容体としてい ることを示す。感染の際、HCMVの糖タンパク質で あるgBとgHはそれぞれ別々にEGFRおよびαvβ3に 結合してウイルスの侵入とシグナル伝達を開始する。 αvβ3はその後脂質ラフトに移動し、そこでEGFR と結合して協同的なシグナル伝達を誘導する。EGFR とαvβ3の共同作業は、ウイルスの侵入、RhoA発 現低下, ストレスファイバーの分解およびウイルスの 核輸送など、HCMV感染の初期過程に不可欠である。 今回の結果は、HCMVの侵入とシグナル伝達に対し てEGFRとαvβ3が補助受容体として共同して働く というモデルを裏づけるものである。この知見は、 HCMVの病原性を解明し、ウイルス受容体を標的と する治療戦略を開発するのに重要である。 Full text PDF 目次へ戻る