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免疫:TLRの活性化は単球のマクロファージと樹状細胞への迅速な分化を引き起こす

Nature Medicine 11, 6 doi: 10.1038/nm1246

ハンセン病では、ある型では病気が進行し、また別の型では感染が限局されるため、感染に対する宿主防御への自然免疫系の寄与の機構を研究することができる。本論文では、Toll様受容体(TLR)による活性化が、ヒト単球のDC-SIGN+CD16+マクロファージとCD1b+DC-SIGN-樹状細胞という2つの異なるサブセットへの迅速な分化を誘導することを報告する。DC-SIGN+貪食性マクロファージは、TLRを介したインターロイキン(IL)-15およびIL-15受容体 の発現増加により増殖した。CD1b+樹状細胞は、TLRを介した顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびその受容体の発現増加によって増殖し、T細胞活性化を促進し、炎症性サイトカインを分泌した。DC-SIGN+マクロファージは、すべてのハンセン病患者の病巣およびTLR活性化後にも検出されたのに対し、CD1b+樹状細胞は、進行性のらい腫らい型患者ではらい菌が1型ヘルパーT(TH1)応答によって排除される境界反応(リバーサル反応)の間を除いて、病巣にもあるいは末梢単球のTLR活性化後にも検出されなかった。類結核らい型の病巣では、DC-SIGN+細胞はマクロファージマーカー陽性だったが、樹状細胞マーカーについては陰性であった。したがって、単球のマクロファージもしくは樹状細胞へのTLRによって誘導される分化は、ヒトの感染症における効果的な宿主防御に決定的な影響を及ぼすと思われる。

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