Letter 炎症:炎症性関節炎で起こるFasリガンドに誘発される好中球のアポトーシスの防止にはFoxo3aが必要である 2005年6月1日 Nature Medicine 11, 6 doi: 10.1038/nm1248 ずっと以前から、関節リウマチなどの炎症性関節炎では同系リンパ球が自己免疫を助長すると考えられてきたが、大多数の急性および進行性の炎症も好中球および肥満細胞などの自然免疫にかかわる細胞が原因であることを示す証拠が増えつつある。しかし、これにかかわる分子機構はほとんど解明されていない。本論文では、このような炎症に、フォークヘッド転写因子Foxo3aが必要であることを示す。Foxo3a欠失マウスは、2種類の好中球性炎症モデル、すなわち免疫複合体が介在する炎症性関節炎、およびチオグリコレート誘発腹膜炎に対して抵抗性を示す。これは、炎症の間にFasリガンドを抑制して好中球の作用を持続させるのに、Foxo3aが必要であることを表している。Foxo3aはFaslのプロモーターに結合してその働きを抑制するため、Foxo3aを欠く好中球ではFasリガンドの発現が増大し、TNF-αおよびIL-1に応答してアポトーシスを起こすようになる。また、Foxo3a欠失マウスでFasリガンドを遮断すると、関節炎および腹膜炎を発症するようになる。したがって、Foxo3aは炎症の間に好中球が確実に生存できるように働いており、Foxo3aは炎症治療の標的となると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る