Article リンパ腫:Stat3はALKを介したリンパ腫発生に必要であり、治療標的となる可能性がある 2005年6月1日 Nature Medicine 11, 6 doi: 10.1038/nm1249 未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、anaplastic lymphoma kinase(ALK)癌原遺伝子が二量体形成相手と並置されるようになる染色体転座が原因である。この転座によってALKおよびALKチロシンキナーゼが構成性発現を起こし、活性が増大する。ヒトのALCLで活性化されているALKの基質の1つは転写因子Stat3であり、この分子のリン酸化はリンパ腫発生の新しいマウスモデルであるヌクレオフォスミン(NPM)-ALKトランスジェニックマウスでそっくり再現される。本論文では、遺伝子ターゲティング法によって、Stat3がマウス胚の繊維芽細胞のin vitroでの形質転換、トランスジェニックマウスでのB細胞リンパ腫の発生、またヒトおよびマウスのNPM-ALKにより形質転換を起こしたB細胞とT細胞の成長および生存に必要なことを報告する。Stat3の発現をアンチセンスオリゴヌクレオチドにより阻害すると、in vivoでのヒトおよびマウスのNPM-ALK腫瘍の成長は有意に(P<0.0001)抑制された。薬理学的方法によるStat3の除去は、ヒトリンパ腫の新たな治療法となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る