Letter 骨形成:NFATとOsterixは協調して骨形成を制御する 2005年8月1日 Nature Medicine 11, 8 doi: 10.1038/nm1270 免疫抑制剤は同種異系間の臓器移植に伴って生じる有害な免疫反応の予防には非常に重要であるが、骨格系などの多くの生体系に対して副作用を及ぼすことも多い。カルシニューリンの阻害剤であるFK506およびシクロスポリンAは、NFAT(活性化T細胞核内因子)活性を抑制し、強い免疫抑制を誘導する。NFATタンパク質の中でも、NFATc1は骨を吸収する破骨細胞の分化に必須の役割を果たす。本論文では、FK506の投与により破骨細胞の分化が抑制されるにもかかわらず、骨量が減少することを示す。この骨量減少はFK506によって骨形成が大きく障害を受けることが原因であり、NFAT転写因子が骨芽細胞の転写プログラムにおいても重要な役割を果たしていることを示唆している。実際に、Nfatc1およびNfatc2を欠失する細胞における骨形成は、FK506処理した骨芽細胞の場合と同様に阻害される。NFATc1の過剰発現は、OsterixによるCol1a1 (I型コラーゲンをコードする)プロモーターの活性化を促進するが、Runx2によるBglap1(オステオカルシンをコードする)プロモーターの活性化は促進しない。NFATおよびOsterixは、DNAに結合する複合体を形成し、この相互作用はOsterixの転写活性にとって重要である。したがって、NFATとOsterixは協調して骨芽細胞による骨形成を制御している。今回の結果は、臓器移植後の骨粗鬆症の管理や骨量減少をきたす疾患において骨再生を促進させるための新しい治療戦略に対し重要な知見を提供すると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る