Nature

Cover Story: 大脳皮質を読み解く:マウス脳における神経接続と機能の詳細なマッピング

Nature 640, 8058 (2025年4月10日)

脳の働きを明らかにすることは、ニューロンの機能とそれらが位置するシナプスの構造を理解することに他ならない。今週号のMICrONS(Machine Intelligence from Cortical Networks)コンソーシアムからの7報の論文によって、この目標が近づいている。これらの論文は、マウスの視覚皮質に存在する20万個の細胞間の5億2300万に上るシナプスの詳細な地図に加え、マウスが多様な視覚刺激を受けた際に記録された約7万5000個のニューロンの機能画像を提示している。基幹論文では、S Seung、C Reid、A Tolias、X Pitkow、J Reimer、F Collman、N da Costaたちの各研究チームが、データセットを紹介(表紙画像参照)しており、da Costaたちはさらに、視覚皮質の皮質コラム内におけるニューロン間の接続性を詳細に解析して配線図を作成している。また、Toliasたちは2報の論文で、ニューロンの機能に基づいた普遍的な配線規則を明らかにするとともに、理論を検証するためのデジタルモデルを開発し、新規刺激に対する脳の反応を予測するアルゴリズムを生成している。一方、Collmanたちは、異なるニューロンのタイプを構造に基づいて分類する方法を調べ、S Sorensenたちは、遺伝子発現データと照合したニューロンの接続パターンを解析している。そしてReimerたちは、大規模な電子顕微鏡再構築データの解析と自動校正を可能にする新たなツールを報告している。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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その他のイベント

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