Cover Story: 大脳皮質を読み解く:マウス脳における神経接続と機能の詳細なマッピング
Nature 640, 8058 (2025年4月10日)
脳の働きを明らかにすることは、ニューロンの機能とそれらが位置するシナプスの構造を理解することに他ならない。今週号のMICrONS(Machine Intelligence from Cortical Networks)コンソーシアムからの7報の論文によって、この目標が近づいている。これらの論文は、マウスの視覚皮質に存在する20万個の細胞間の5億2300万に上るシナプスの詳細な地図に加え、マウスが多様な視覚刺激を受けた際に記録された約7万5000個のニューロンの機能画像を提示している。基幹論文では、S Seung、C Reid、A Tolias、X Pitkow、J Reimer、F Collman、N da Costaたちの各研究チームが、データセットを紹介(表紙画像参照)しており、da Costaたちはさらに、視覚皮質の皮質コラム内におけるニューロン間の接続性を詳細に解析して配線図を作成している。また、Toliasたちは2報の論文で、ニューロンの機能に基づいた普遍的な配線規則を明らかにするとともに、理論を検証するためのデジタルモデルを開発し、新規刺激に対する脳の反応を予測するアルゴリズムを生成している。一方、Collmanたちは、異なるニューロンのタイプを構造に基づいて分類する方法を調べ、S Sorensenたちは、遺伝子発現データと照合したニューロンの接続パターンを解析している。そしてReimerたちは、大規模な電子顕微鏡再構築データの解析と自動校正を可能にする新たなツールを報告している。