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チアゾリジンジオンはPPARγによりENaCを介する腎臓の塩吸収を刺激して体液量を増大させる

Nature Medicine 11, 8 doi: 10.1038/nm1278

チアゾリジンジオン(TZD)は2型糖尿病の治療に広く使用されているが、全身性の水分貯留を起こすため使い方がむずかしい。TZDのネフロンにおける薬理学的標的であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARγ、Pparg遺伝子にコードされる)は集合管に最も多く存在している。本論文では、TZDを投与されたマウスは体内総水分量の増大によって投与初期に体重増加をきたすことを示す。この体重増加は集合管に特異的に作用する利尿剤アミロライドによって阻止され、Ppargflox/floxマウスを用いることで集合管からPpargを欠失させても防止された。集合管のPpargを欠失させると腎のナトリウム・アビディティが低下し、血漿中のアルドステロン量が増加した。培養集合管細胞をTZDで処理するとアミロライド感受性のナトリウム吸収と、Scnn1gmRNA(上皮性ナトリウムチャンネルENaCγをコードする)の発現がPPARγ依存性経路を介して増加した。これらの知見から、Scnn1gは集合管におけるPPARγの標的遺伝子であることが明らかになった。この経路の活性化はTZD使用に伴う水分貯留を引き起こし、またアミロライドはこうして起きる水分貯留に対する特異的な治療法となると考えられる。

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