Press Release 過去に種痘を受けてサル痘に防御的免疫をもつ個体が複数の診断技術により特定できた 2005年9月1日 Nature Medicine 11, 9 doi: 10.1038/nm1273 かつて米国では人口のおよそ50%が種痘(天然痘ワクチン接種)を受けていたが、1972年には一般人の定期接種が、1990年には軍人への接種が廃止された。種痘後の免疫は長期持続することが複数の研究報告からわかっているが、オルトポックスウイルス類の引き起こす疾患発症をこれにより完全に防げると考えていいかどうかは疑わしいままである。2003年の米国でのサル痘大発生は、この問題を検証する好機となった。我々は、95%以上の感受性と90%以上の特異性で臨床的なサル痘感染を検出できる相互検証済みのそれぞれ別個の診断方法を複数使い、種痘後それぞれ13、29、48年目たっており、予備的免疫のある3名で、これまで未報告のサル痘感染が起こっていたことを明らかにした。これらの個体は、それとわかる症状が出なかったため感染に気づかなかったのである。総合するとこれらの結果は、米国のサル痘発生の規模がこれまで認識されていたよりも大きかったことを示しており、さらに重要なことに、種痘から数十年たっても西アフリカ起源のサル痘に防御能のある抗ウイルス性交差免疫が維持されている可能性を明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る