Article てんかん:てんかんの基盤として働くアストログリア 2005年9月1日 Nature Medicine 11, 9 doi: 10.1038/nm1277 過同期性のニューロン発火は、てんかんの顕著な特徴であるが、多数のニューロンが同時に活性化される機構はまだよくわかっていない。てんかん性放電の一部は局所性脱分極変位によって開始され、これがニューロン群の同期的バーストを起こさせる。今回、過同期性バーストの細胞的基礎を明らかにするために、テトロドトキシン(TTX)および電位依存性Ca2+チャネル遮断薬によってシナプス活動を抑制した後に起こる発作性脱分極変位について調べた。本論文では、発作性脱分極変位が、シナプス外の供給源からのグルタミン酸の放出によって、あるいはアストログリアにおけるケージドCa2+の光分解によって開始されることを報告する。生体の露出させた皮質で2光子励起画像法による観察をおこなったところ、バルプロ酸、ガバペンチン、フェニトインなどの複数の抗てんかん薬が、アストログリアのCa2+シグナル伝達能を低下させることが明らかになった。これらの結果は、アストログリアがてんかん発作において、予想外の重要な役割を果たすことを示している。したがって以上の知見からは、てんかんの治療でアストロサイトが発症の基盤に近い標的であることが明らかである。 Full text PDF 目次へ戻る