Article アカゲザルでのSARSコロナウイルスに対する予防および治療へのsiRNAの使用 2005年9月1日 Nature Medicine 11, 9 doi: 10.1038/nm1280 重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス感染に対して、短鎖干渉RNA(siRNA)という阻害物質を使う治療薬の開発は、新興感染症に対する強力な新規治療法の実例である。in vitroではsiRNAはSARSコロナウイルス(SCV)に対する強力な阻害物質となるが、さらにアカゲザル(Macaca mulatta)SARSモデルで、臨床的に使用可能な送達法を用い3種類の投与計画の比較を行ってその有効性と安全性を評価した。SARS様の徴候の観察、SCV RNA量の測定および肺の組織病理学と免疫組織学的知見からは一貫して、siRNAが仲介する抗SARS作用が予防的あるいは治療的投与療法のどちらにおいても有効であることが明らかになった。ここで使われたsiRNAによって、SCV感染による発熱の軽減、SCVウイルス量の減少、急性拡散性肺胞傷害の低減が起こった。siRNAの累積投与量10-40mg/kgでは、siRNA誘発性の毒性の兆候はまったく見られなかった。これらの結果は、臨床試験実施の正当な根拠となり、siRNAが新規標的治療薬の開発時間を大幅に減少できる可能性をはっきり示している。 Full text PDF 目次へ戻る