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肝傷害:GRK2は門脈圧亢進症で内皮細胞一酸化窒素シンターゼの機能調節に重要な役割を果たす

Nature Medicine 11, 9 doi: 10.1038/nm1289

傷害を受けた肝臓では類洞内皮細胞の内皮細胞一酸化窒素シンターゼ(eNOS)による一酸化窒素(NO)の産生が低下し、これは肝内門脈圧の亢進をまねく。今回我々は、eNOS機能が損なわれる原因となる機構の解明を試みた。eNOSを活性化するセリン-トレオニンキナーゼAktのリン酸化は、傷害肝の類洞内皮細胞では大きく低下していた。門脈圧亢進症ラットでAktをin vivoで過剰発現させると、Aktのリン酸化およびNOの産生が回復し、門脈圧が低下した。AktはGタンパク質共役型受容体キナーゼ2(GRK2)と物理的に相互作用し、この相互作用によってAktの活性が阻害されるとわかった。また、門脈圧亢進症ラットの類洞内皮細胞ではGRK2の発現が増加しており、GRK2をノックダウンするとAktのリン酸化およびNO産生が回復し、門脈圧は正常に戻った。さらに、GRK2欠損マウスでは肝傷害後に発症する門脈圧亢進症の重篤度は対照群に比べてより低かった。したがって、傷害肝類洞内皮細胞におけるeNOSの活性低下の基盤となる重要な機構は、傷害後に起こるGRK2の過剰発現が原因のAktのリン酸化欠除といえる。

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