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ウイルス感染:インターロイキン10はin vivoでのウイルスのクリアランスあるいは存続を決定する
Nature Medicine 12, 11 doi: 10.1038/nm1492
持続的なウイルス感染は健康上の重大な問題である。持続的感染のクリアランスを妨げる障害の1つは、抗ウイルス性T細胞の機能的不活化である。このような免疫抑制は、感染後迅速に起こるが、T細胞の活性喪失を引き起こしてウイルスの存続を促す機構は明らかになっていない。本論文では、マウスでの持続的なウイルス感染が、インターロイキン(IL)10の抗原提示細胞での大幅な発現亢進を引き起こし、それがT細胞応答の低下につながることを実証する。Il10遺伝子を除去すると、エフェクターT細胞の強力な応答が維持されるようになり、ウイルスが迅速に排除され、抗ウイルス性メモリーT細胞応答が進行した。IL-10受容体の働きを阻害する抗体を治療目的で投与すると、T細胞機能が回復し、ウイルス感染が排除された。したがって、ウイルスの存続につながる免疫抑制を直接誘導する単一の分子が同定され、IL-10の中和療法がT細胞を回復させ、ウイルスの存続を防止することが実証された。