Article 脳卒中:SUR1に制御されるNCCa-ATPチャネルの新たな発現が虚血性脳卒中後の脳浮腫を引き起こす 2006年4月1日 Nature Medicine 12, 4 doi: 10.1038/nm1390 中枢神経系の病理学的状態は、脳卒中と外傷を含めて、脳浮腫によって悪化することが多い。我々は最近、虚血状態のアストロサイトで、スルホニル尿素受容体1(SUR1)によって制御される非選択的カチオンチャネルであるNCCa-ATPチャネルがATPの枯渇によって開口すること、この開口によって細胞傷害性の浮腫が生じることを突き止めた。本論文では、囓歯類の脳卒中動物モデルでのこのチャネルの関与について検討した。SUR1タンパク質とmRNAは、虚血状態のニューロン、アストロサイトおよび毛細血管で新たに発現された。SUR1の発現量増加と転写因子Sp1の活性化は連繋して起こり、機能を備えたNCCa-ATPチャネルの発現をともなったが、KATPチャネルの発現は起こらなかった。低用量のグリベンクラミドでSUR1の働きを遮断すると、脳浮腫、梗塞体積の減少が見られ、死亡率は50%低下し、皮質の残存をともなう梗塞体積の縮小が認められた。今回の結果は、脳浮腫発生にNCCa-ATPチャネルが深くかかわっていることを示しており、SUR1を標的にすることが、脳卒中の新たな治療手法となる可能性を示している。 Full text PDF 目次へ戻る